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皮膚乾燥(ドライスキン)とその対策

ラジオ放送をお聞きの皆様、おはようございます。私はJA福島厚生連 坂下厚生総合病院に勤務しております、皮膚排泄ケア認定看護師の武藤陽子と申します。初めに少しだけ私の活動に関して話をさせて頂きたいと思います。まず、皮膚・排泄ケア認定看護師とは、傷や床ずれと言われる褥瘡、ストーマと言われる人工肛門や人工膀胱などの排泄ケアなどをより専門的に行う看護師です。私は医療の現場でなかなか治らない床ずれをみていて11年前に認定看護師になり、自分が行ったケアで、傷が治ったり、患者さんや家族、それにかかわる人達が自信を持てるようになったりと笑顔で話される瞬間が認定看護師として活動してきてよかったと思う瞬間です。そして、私は現在、主に外科外来でおり、がんの患者さんの人工肛門のケアから床ずれの治療と幅広く対応しており、たとえば、在宅で床ずれが出来て受診した場合などは、原因から対策、ケア方法の選択や指導を行い、本人や家族だけでなく、その方を取り巻くすべてを考慮して、何が必要なのかアドバイスや相談をさせていただいております。 それでは、本題に入っていきます。今回のテーマは「皮膚の乾燥とその対策」で、皮膚とは人体最大の臓器ともよばれ、体重の約14から16%もあります。体の最も外の位置にある皮膚は保湿機能の役割や水分の蒸散を防ぐ機能を果たしており、健康な皮膚であることで体は細菌やウイルス、化学物質などの全ての外部の刺激から体を保護し、外からの様々な異物の侵入を防ぐバリア機能をはたしております。   しかし、皮膚も年齢を重ねるごとに紫外線によるダメージや加齢に伴う変化を起こし、健康を損ないやすい状態となってしまいます。特に多いのが今回のテーマである「乾燥」がこの時期は問題で、秋から冬にかけては特に空気が乾燥し、皮膚の水分の喪失が起こり易かったり、お湯を使うことで皮膚を覆っている皮脂膜が簡単に流れやすかったりと乾燥をしやすい環境となっております。乾燥した皮膚はバリア機能が低下し、外部刺激が容易に皮膚に入り込みやすくなってしまい、皮膚の痒みや痒い事でかき傷を生じさせたりします。また、痒い事で夜によく眠れなかったりすることもあり、そのような状態にならないためにはどうすればよいか次にお話しさせていただきます。   まずは自分の皮膚が乾燥していないのか確認していただきます。乾燥のチェックポイントは自分の皮膚をみて、皮膚がかさかさとしていないか、白っぽくなって粉をふいていないか、ひび割れや亀裂がないか、赤みがあるなどの炎症がないか、確認してみてください。当てはまる症状があれば、乾燥している可能性があります。   次に乾燥対策についてお話をさせて頂きます。まずは、生活での対策として、入浴方法に注意していきます。入浴時、体を洗う時は洗浄剤をよく泡立ててから体を洗うようにしてください。皮膚の汚れを泡で優しく取り除くことができます。ナイロンタオルやブラシでゴシゴシとこすらずとも汚れは取り除けますし、ごしごしと洗うことによっては皮膚を覆っている皮脂成分が過剰に取り除かれてしまうこともあります。現在は泡タイプの洗浄剤も販売されており、それを使用するのも良いでしょう。湯船の温度も38~40℃位のお湯で入浴することがお勧めです。熱いお湯は体も温まり気持ちも良いですが、あまり熱すぎるお湯では皮膚の皮脂成分が過剰に取り除かれすぎます。入浴後の水分を拭くときもごしごしと拭き取らずに、軽く皮膚にタオルをあてるように押し拭きをするようにしてください。入浴は皮膚にやさしく洗い上げることがポイントです。また、保湿成分が入った入浴剤を使用することもお勧めです。保湿成分入りの入浴剤を使用して入浴することで皮膚の保湿や乾燥の予防が簡単に行えます。浴槽のタイプで使用が出来ない場合は風呂桶に上がり湯として使用することも良いでしょう。他にも、室温や湿度のコントロールを行うことも必要です。湿度は40%以下にしないように加湿器の使用がよいでしょう。また、寒いからと言って、直接暖房の風が当たらないようにし、直接暖房の風があたることで皮膚の水分が飛んで行ってしまい乾燥してしまいます。近年はヒートテック衣類による乾燥肌の報告があり、ヒートテックを着てから乾燥肌が強くなっていたら、それが乾燥の原因となっている可能性もあります。木綿などの衣類へ変更を検討することも良いでしょう。食事は偏食せずにバランスの良い食事の摂取やビタミンAなどの摂取を行い、十分な水分の摂取も心がけましょう。最後に、直接皮膚に保湿剤を使用することがお勧めで、直接乾燥した皮膚に保湿剤を使用することで肌の保湿成分を補充します。保湿剤を使用するタイミングとして、入浴直後に保湿剤を塗ることが良く、入浴直後は肌の水分が十分にあり、その水分を蒸発させないように入浴直後に塗ることをお勧めします。また、保湿剤は1日に数回塗ることが効果的です。常に皮膚は乾燥しやすい状況ですので、数回に分けて保湿剤を使用してください。保湿剤を塗るにあたり、使用する部位や時期により変えていくこともお勧めです。広い部分に使用する時はローションタイプが伸びがよく塗りやすいでしょう。また、夏などはローションタイプであればさっぱりと使用できるのではないでしょうか。クリームタイプは種類によっては伸びにくいこともあり、その分、保湿効果が高く、乾燥が強い時に使用することも良いでしょう。保湿剤を塗るときも、目安として肌にティッシュをつけても落ちない程度の十分な量の保湿剤を使用して下さい。使用量の目安としては、ローションタイプでは1円玉くらいの量が成人の手のひらの面積、約2枚分と言われており、クリームタイプでは成人の人差し指の先端から第1関節の長さまで出した量が目安としています。塗り方も皮膚の溝に沿って手のひらで、塗ってあげることが効果的でしょう。まずは保湿剤をこまめに使用してみてください。私の場合はリビングと洗面所の間にポンプ式の保湿剤を置きっぱなしにして、そこを通るときにすぐに使用できるようにしています。テレビを見ながらなどの「ながら保湿」を行っております。 皆様、皮膚が健康であれば気分もよく、笑顔も出やすいです。皮膚の健康維持の為に一緒に頑張りましょう。