農作業中の熱中症予防について
2023年8月放送みなさん、おはようございます。 暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。私はJA福島厚生連 健康福祉課 佐藤と申します。本日は、「農作業中の熱中症予防」について、いくつかのポイントと、知っておきたい熱中症に関する大切な事をお話したいと思います。 「熱中症」は、高温多湿な環境下にいる事で、徐々に体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指します。屋外だけでなく屋内で何もしていない時でも発症し、救急搬送になる事や、場合によっては死亡する事もあります。ですが、熱中症は正しい知識を身につける事で、適切に予防する事が可能です。 本日お話しする予防のポイントや対処方法等を行い、農作業中の熱中症を予防しましょう。 熱中症の発生状況ですが、熱中症による死亡者は年によって増減はあるものの1000人を超える年もあります。農作業中の熱中症による死亡者は、直近10年間で259人。農作業死亡事故のうち約1割が熱中症による死亡となっています。農作業中の死亡事故の約85%が7月~8月に発生している一方で、3~6月、9月にも発生しています。 熱中症にかかりやすい人はどんな方でしょうか。 農作業中の熱中症による死亡者数を年代別に見ると、70代以上が約9割を占めています。 一般的に、高齢者は暑さや水分不足に対する感覚機能が低下するとされているので、特に注意が必要です。 熱中症予防のポイントは次の4つです。 (1)暑さを避ける 高温時の作業は極力避け、日陰や風通しの良い場所で作業をしましょう。 特に、70歳以上の方は、のどのかわきや気温の上昇を感じづらくなります。日中の気温の高い時間帯は外して作業しましょう。 (2)単独作業を避ける なるべく2人以上で作業し、時間を決めて声をかけあったり、異常がないか確認し合うようにしましょう。 (3)20分おきに休憩と水分補給しましょう 涼しい日陰などで作業着を脱ぎ、体温を下げましょう。のどが渇いていなくても、20分おきに毎回コップ1~2杯以上を目安に水分補給しましょう。 (4)熱中症対策アイテムの活用 帽子や吸湿速乾性の衣服の着用、空調服や送風機の活用など、積極的に熱中症対策アイテムの活用で熱中症を予防してください。そのアイテムも場合によって必要なものが違います。 ①暑い時間帯の作業等が避けられない場合 ファン付ウエア・ネッククーラーなどで身体を冷やしましょう。 ②一人作業のリスクを回避したい場合 救急セット 経口補水液や冷却グッズなど ウエアラブル端末 深部体温や体内水分バランスを計測し休憩や水分補給のタイミングをお知らせしてくれます。 ③作業環境を改善したい場合 ミストファンやミスト発生器等を使用し、ミストの気化熱により、作業場を涼しくしたり、休憩の質を高めましょう。 暑さ指数に応じた作業を行いましょう。 暑さ指数(WBGT)に応じた農作業を行いましょう。 暑さ指数とは暑さの厳しさを示す指数です。暑さ指数が高ければ、熱中症になりやすくなります。お住まいの地域の暑さ指数に照らして、当日に予定している作業の強度が高い場合は、より軽い作業へ変更を検討して下さい。変更が難しい場合は、作業する時間を朝夕の時間帯にずらしたり、休憩や給水の回数を増やすなどの対策を行ってください。 お住まいの地域の暑さ指数は、環境省「熱中症予防情報サイト」で検索できます。 これらの予防対策をとっても熱中症になってしまう場合があります。 つづいては、熱中症の症状と応急処置についてお話します。 熱中症の代表的な症状 熱中症には特徴的な症状がなく、「暑い環境での体調不良」は全て熱中症の可能性があります。ですので、体調不良の症状があれば、すぐに作業を中止する事が大切です。 その中でもよく起きる症状としては、 ・手足がしびれる、冷たい。 ・汗をかかない、体が熱い ・めまい、吐き気がする ・倦怠感、判断力低下 ・ズキンズキンとする頭痛がある ・まっすぐに歩けない 等です。 応急処置 ・涼しい環境へ避難しましょう。 ・服をゆるめて風通しをよくしましょう。 ・水をかけたり、扇いだりして体を冷やしましょう。 ・水分・塩分を補給しましょう。 ※腋の下、両側の首筋。足の付け根を冷やすと効果的です。 意識がない場合、自力で水を飲めない場合、応急処置を行っても症状が改善しない場合は、すぐに医療機関で診察を受けるようにしてください。 熱中症警戒アラートという公的なサービスがあります。 熱中症警戒アラートとは、熱中症の危険性が極めて高い暑熱環境になると予想される日の前日夕方または当日早朝に都道府県ごとに発表されます。発表された情報はテレビ、防災無線、SNSを通じて発信されます。なお、農林水産省が情報提供するスマートフォン向けアプリ「MAFFアプリ」に、「熱中症警戒アラート」の通知機能があります。農作業中の熱中症対策の為にも、アプリのダウンロードも検討してください。アプリのダウンロードは「農林水産省 MAFFアプリ」で検索出来ます。 まだまだ暑い時期が続きます。農作業中の熱中症予防をこれまで以上に心掛けて頂き、事故の無いようお願いいたします。 最後までお聞きいただきありがとうございました。