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やる気にさせる会話術

 みなさんおはようございます、私は白河厚生総合病院、リハビリテーション科の田村清香と申します。  本日のテーマは やる気にさせる会話術、です。   日増しに寒さが増してきて、動き出すのが億劫な季節になってきましたね。自分のやる気を出すのも大変ですが、自分以外の家族や周りの方にやる気を出してもらいたい時もありますよね?そんな時、どうしたらいいのでしょうか? 私たちリハビリのスタッフは 病気やけがで入院されている方達に、主治医の指示のもと、体力や筋力を回復させたり、生活の中で必要なことややりたい事を練習したりしています。  やる気のある患者さんもたくさんいらっしゃいますが、中にはもちろん体調が悪かったり痛いところがありながらも、少しずつ動く練習をしなければいけない方、また認知症の高齢者の方や動きたくない、寝ていたい、と思っている患者さんもいます。  そんな方達にも楽しくリハビリをしていただき、少しでも早く自分らしい生活に戻っていただきたいと思いながら関わっています。  病院でのリハビリは患者さんと一対一で行います。いつものリハビリ室をみていると、笑顔でお話をしながら体を動かしたり、歩いたりしている光景をよく目にします。リハビリのスタッフは何気ない会話をしながらも、患者さんに寄り添い、やる気の出るような声がけをすることが得意なんです。  ですので今日はそのテクニックの一部をみなさんにもお伝えしようと思います。  職場やご家庭で、パートナーや子供、おとうさん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんに試してみてください。  やる気を出してもらいたい人に働きかけるポイントは大きく2つあります。  まず一つ目は「その人の気持ちを聴く」です。  愚痴をきく、でも良いんです。今どんな事を思っているのか、やる気にならない原因はなんなのか、その人の話す言葉の奥にある、本当に求めている物はなにかを探っていく必要があります。  例えば、「調子はどう?」「大変なことある?」など、なんでも良いので質問をして、今の気持ちを話してもらいます。聞くときは、途中で遮ったり、否定したりしないで、頷きながら相手を受け入れる姿勢で聞いてください。  愚痴を聞くのは大変ですが、話す人にとっては愚痴を聞いてもらうだけでも楽になったり、前向きになれる場合があります。ぜひ否定せずに聞いてあげてください。  そして二つ目が「その人を認める」です。  人間には誰でも「人から認められたい」という承認欲求というものがあります。「認められた」と感じ、その思いが叶うと、さらに認められたい、と行動しようとします。それがやる気につながります。  認めるとは具体的にどうすればいいかというと、「褒める」ことです。人は褒められると嬉しいものですが、「褒める」と「おだてる」は違います。  どちらも称賛し讃えることを表しますが、「おだてる」は嬉しがらせることによって相手を得意にさせ、何かをさせようとする行為です。一方で「褒める」は無条件に相手を称賛し讃えます。  人を褒めようとするときは心から本当に思っている真実を伝えるようにしましよう。  人が認められた、と感じる誉め方には色々ありますが、今日は3つの方法を紹介します。  1つ目は、その人が出した結果をほめるという事です。例えば「テストの点数が良かったね」や「目標のノルマを達成したね」など、できるだけ具体的に、客観的な事実を伝えます。  2つ目はその人の行動を褒めるということです。努力は目に見えにくい物ですが、例えば「寒いのに毎日頑張っているね」や「腰が痛いのに草むしりしてくれたんだね」など、その人が努力したことを褒めます。  しかし、行動や結果ばかりに目を向けていると何もしない方をどう褒めたらいいか分かりません。  そこで3つ目です。3つ目はその人の存在そのものを誉めるということです。例えば相手の名前を呼ぶ、目を見て話すなど、「いつも気にかけているよ」という意図が伝わるとそれだけでも嬉しいものです。また、「あなたがいてくれてありがたい」「どんなあなたでもあなたは素晴らしい」といったメッセージを送ってみてください。これは人間関係のベースであり、最も大切なものです。  このように、①相手の気持ちを聞くこと、②その人を認めること、これらを組み合わせることで、気付きを促したり、やる気を出してもらうことができると思います。  その上で、自分の意見を提案すると、スムーズに納得してもらえるかもしれませんね。  コツは相手をコントロールしようとしないことです。無理にやらせるのではなく、自分でやった、できた、という経験がその人の自信になります。  本日は「やる気にさせる会話術」についてお伝えしました。ありがとうございました。