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訪問看護について

 ラジオをお聞きのみなさま、おはようございます。  私は、JA福島厚生連坂下厚生総合病院の中にあります、ばんげ訪問看護ステーションで訪問看護師をしております、和田ゆう子と申します。今日は、訪問看護についてのお話をさせて頂きます。よろしくお願い致します。  みなさん、訪問看護をご存じでしょうか?訪問看護はかかりつけの医療機関の主治医から訪問の依頼を受け、住み慣れた住まいで療養生活される方に看護師が訪問をして、その方一人一人の病状に応じた支援、看護を提供しています。  ご利用される方は、あかちゃんからお年寄りまで、年齢は問わずどの年代であってもご利用が可能です。  ご利用される方の多くは医療的なケアや介護を必要とする方々です。そしてご利用されるご本人だけでなく療養生活を支えるご家族に対して、医療的なケアの方法や、介護の工夫、必要な介護サービスについての相談や助言なども行っています。  次に、訪問看護の内容をお話しします。  まず1つ目は、利用される方は訪問看護事業所と24時間体制の契約を結ぶことでいつでも24時間365日安心を支えるサービスの提供が受けられます。私たちはかかりつけの医療機関との連絡を取り状態に応じて訪問の必要性がある場合は臨時の訪問を行い、主治医に相談をするなどといった対応ができます。  2つ目は、医療機器や医療的なケアがあっても、在宅で療養ができます。医療機器で代表的なものとして、在宅酸素、人工呼吸器の管理などがあります。器械も昔に比べるとよりコンパクトになり、療養者やそのご家族の生活の目線、動作に寄り添って進化してきています。このほか、褥創、いわゆる床ずれの処置、人工肛門や人工膀胱といったストーマの管理、尿の管の管理、鼻やおなかなどから管を入れて栄養を供給する経管栄養の管理、点滴の管理などがあります。最近は抗がん剤治療や手術の際にポートといった皮膚内に点滴を刺す台を埋め込む方も多く、外来で抗がん剤治療を終えたあと、脱水予防や栄養の補充のために定期的に自宅で点滴を行う方もいらっしゃいます。  3つ目は医療と介護の橋渡しをします。2つ目のところでお話ししました医療機器や医療的なケアが必要となった場合、医療機関でご本人様やご家族と一緒に医療機器の取り扱いや医療的なケアの方法を確認しながら、安心して在宅療養に移行できるよう支援していきます。在宅では医療機関だけでなく、介護事業所や行政、福祉事業所などとの協力で医療的ケアを継続するために、私たちはその橋渡し役となり、安心して住み慣れた地域で生活ができるよう支援させていただいています。  4つ目は、費用についてです。訪問看護は医療保険・介護保険の双方に対応ができます。 介護認定を受けている方は介護保険での利用、介護保険の認定を受けていない方は、医療保険の利用となります。また、介護保険の認定を受けていても、厚生労働大臣が定める疾病等をお持ちの方や精神科訪問看護の場合、医療保険の利用が優先されます。 利用料の具体例として、週一回60分、看護師が訪問した際、介護保険、医療保険で若干の金額の違いはありますが1割負担の方の場合、1か月の自己負担額は5000円前後になります。  5つめは、在宅でのエンドオブライフケア、在宅看取りについてです。  エンドオブライフとは、病気や老衰などで人生の最期が近づいてきた方に対して行う医療やケアの事です。積極的な治療を行うことよりも、苦痛の緩和を優先して、自分らしく、穏やかな気持ちで過ごしていただくことを主としています。昭和の時代、自宅で最期を迎える方は多く、そのほとんどが家族だけで療養のお世話をして自宅で最期を迎えていました。  昭和の後期から平成に入ると人生の最期は自宅から病院へと変化してきました。  介護保険の導入によりこれまで家族の方だけに委ねていた療養の世話などが介護サービスで利用できるようになった事で家族の負担も減り、自宅で最期を迎える、在宅看取りが少しずつ増えてきています。この在宅看取りに医師の存在は欠かせません。これまで通院していたかかりつけの医療機関へ通院が困難となってきた場合、自宅に医師が訪問をする訪問診療医のへの切り替えができます。医療機関によっては訪問診療しながら、在宅看取りまでを行う先生もいらっしゃいますので、まずは、かかりつけの主治医にご相談をしてみてください。当ばんげ訪問看護ステーションにおいては、坂下厚生総合病院の訪問診療を担う医師と連携をして療養者本人やご家族が望む、在宅看取りを行っています。人生最期の時を自宅で迎えることは、病院とは違って気兼ねせず自分らしく過ごせて、精神的な安心感や充実感があるため、生活の質も高められると言われています。ただ自分らしく過ごせる自宅であっても療養する方の痛みや息苦しさなどの辛さがあると、療養を支える方の辛さも大きくなり、介護の負担も大きくなってしまいます。そのため辛さを最小限にできるために私たち訪問看護師は訪問した時の状況を医師だけでなく、連携している薬剤師にも細かく伝え、穏やかに時間を過ごせるようにチームで症状緩和を図ります。そしてその方を支えるご家族のサポートも併せて行っています。  最期に、県内には130を超える訪問看護ステーションがあります。最寄りの訪問看護ステーションをお探しの際は福島県訪問看護連絡協議会のホームページでも確認ができるようになっています。JA福島厚生連は、ばんげ、白河、塙、鹿島の厚生病院に訪問看護ステーションが併設していますので、訪問看護の利用の有無に関わらず、健康に不安があるとき、介護の相談がしたい、入院や退院の時、など、ご相談があれば各訪問看護ステーションにご相談いただければと思います。  春は近づいていますがまだまだ寒い日が続きます。みなさま、お体ご自愛のほどお過ごしください。最後までお聴きくださいましてありがとうございました。