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内臓脂肪CT検査の勧め

 ラジオをお聞きの皆さん、おはようございます。私はJA福島厚生連 高田厚生病院で診療放射線技師をしています長谷川と申します。厳しい残暑もようやく落ち着き、過ごしやすい季節になってきました。秋は「食欲の秋」と言われるように、たくさんの美味しいものが旬を迎えます。ついつい食べ過ぎてしまい体重が増えてしまっていませんか? 今日は、そんな皆さんに内臓脂肪CT検査についてお話をさせていただきます。 〇肥満のタイプについて  肥満には脂肪がどこについているかで、りんご型肥満と洋なし型肥満の2つのタイプに分類されます。 りんご型肥満とは、上半身型肥満とも呼ばれお腹の中の内臓周辺に脂肪がつくタイプの肥満で、生活習慣病との関わりが大きいとされています。  洋なし型肥満とは、下半身型肥満とも呼ばれ皮膚の下に集中して脂肪がつくタイプの肥満で、お尻・太もも・下腹部がふっくらとしていて若い女性に多いタイプです。 〇内臓脂肪とは?  人は食事などから摂取した糖質や脂質を体内で消費し、活動エネルギーを生み出しますが、エネルギーとして使われなかった栄養素は脂肪として蓄えられます。脂肪は主に二つの場所に蓄積されます。このうち内臓の周りにつく脂肪を「内臓脂肪」、皮膚の下につく脂肪を「皮下脂肪」といいます。一般的に、内臓脂肪は女性より男性がつきやすい脂肪ですが、閉経後は女性も内臓脂肪がつきやすくなる傾向があります。内臓脂肪は皮下脂肪に比べて注意が必要な脂肪といわれています。それは、内臓脂肪が過剰に蓄積すると様々な病気を引き起こす「生活習慣病」の原因になるためです。 〇内臓脂肪がたまると、生活習慣病のリスクが高くなるメカニズム  お腹周りの脂肪である内臓脂肪は、脂肪細胞から様々な「生理活性物質」を分泌しています。生理活性物質とは、わずかな量で私たちの体の生理に影響を与え、身体の働きを調整する役割を持つ、ホルモンに似た物質です。その作用の多くは体で起きている炎症や、免疫機能の促進または抑制に深く関わっています。  内臓脂肪から放出される生理活性物質には、生活習慣病を「招くもの」と「防ぐもの」があります。内臓脂肪がたまると、生活習慣病を引き起こす生理活性物質の分泌量が増加し、反対に生活習慣病を防ぐ生理活性物質は減少してしまいます。  そのため、内臓脂肪がたまると血糖値や血圧が上がり、血管の損傷が促進され、やがては糖尿病や脂質異常症といった生活習慣病になるリスクが高まってしまうというわけです。さらに進行すると、動脈硬化や心臓病、脳卒中など命にかかわる病気を発症する危険性が高まります。 〇内臓脂肪CT検査  CT検査はエックス線を使って身体の断面を撮影することができる検査です。内臓脂肪CT検査では、最新マルチスライス CT を用いて、へその位置の内臓脂肪面積および皮下脂肪面積、全脂肪面積などを正確に測定することにより、内臓脂肪型肥満や皮下脂肪型肥満の有無を判定します。  特定検診では腹囲の測定が必須になっています。腹囲は内臓脂肪に比例して増減することが知られています。 そして、内臓脂肪が多いほどメタボリックシンドロームの発症の可能性が高まることから、腹囲を男性で85cm以下、女性で90cm以下にすることが望ましいとされました。  しかし、腹囲が多くても内臓脂肪の少ない方もおられますし、反対に腹囲がそれほど多くなくても内臓脂肪が付きやすい方もいるのです。 したがって、腹囲だけでは内臓脂肪を正確に把握することは難しいといえます。 〇内臓脂肪CT検査の流れ ①身長と体重を計測します。 ②着衣のまま仰向けで撮影台に横になっていただきます。 ③へその位置を確認し、撮影位置を決めます。 ④息を止め(約 1 秒)撮影し、検査終了となります。  その画像を専用のソフトで処理を行い、5分程度で検査結果が出ます。結果内容は内臓・皮下脂肪面積、BMI、肥満度など各パラメーターによる評価や内臓・皮下脂肪型肥満の説明つきのカラー表示でわかりやすいものになっています。 〇内臓脂肪CT検査の長所と短所  内臓脂肪CT検査は検査時間が非常に短く、5分程度で終了します。検査のために必要な処置などもないため、痛い思いをせずに検査を受けることができるという長所があります。また、CTの撮影データを用いているため、正確な腹囲、内臓脂肪面積を知ることができます。ただし、CTを用いた検査であるため、妊娠中および妊娠の可能性のある方は受診できません。また、内臓脂肪CT検査は、健康診断などのオプションとして受けることができますが、基本的には自費で受けることになります。  厚生労働省の全国調査によると日本人の中高年(40~74歳)のうち、男性で2人に1人、女性で5人に1人が、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)あるいは予備軍であることが発表されています。メタボリックシンドロームであることがわかっていない人は、すでにわかっている人と同じくらいいると推測されています。  内臓脂肪は皮下脂肪に比べて、付きやすい分、落としやすい脂肪です。過食や運動不足な生活習慣をしている方は、定期的にCT検査で内臓脂肪量を測定し、健康な身体を目指しましょう。  皆さん、最後までお聴きいただきありがとうございました。それでは、良い一日をお過ごしください。