白河厚生総合病院の肺がん検診・脳検診について
2024年7月放送みなさん、おはようございます。白河厚生総合病院放射線科の吾妻美幸と申します。 本日は、当院で行っている健診の中で、我々が力を入れて取り組んでいる内容についてご紹介します。一つ目は肺がんの早期発見を目的とした肺がん検診、もう一つは、脳梗塞や脳出血などの脳卒中の原因となる病変の早期発見を目的とした脳検診についてご説明します。 まずは、肺がん検診についてです。 日本において、全ての癌の中で肺がんの死亡数は、男性は第1位、女性は第2位の多さとなっています。この要因は、肺がんになる確率が高いこと、そして、肺がんになってしまった時の生存率が低いことにあります。 肺がんになる確率が高くなる一番の原因は喫煙と言われています。喫煙による肺がんのリスクは男性で4.8倍、女性で3.9倍になるといった報告があります。 近年、電子タバコや加熱式タバコといった新型タバコを使用する方が多くなっていますが、加熱式タバコは従来の紙タバコと同等の発がんリスクがあり、電子タバコも肺の損傷リスクが高まります。よって、まずは、肺がんになる確率を下げるために禁煙をして予防をすることが重要になります。 肺がんは生存率については、先ほどは低いとお話しましたが、実は、肺がんの種類の中でも早期に見つけ、早期に治療することで、生存率が高くなる癌があると知られています。それは非小細胞がんと言って、肺に最も発生しやすい癌であり、5年間の生存率は、早期で発見された場合は84%と高く、逆に発見が遅くなり進行した状態で発見された場合は8%と非常に低いことが報告されています。 この理由は、早期のがんの場合は手術によってがん細胞をすべて摘出できれば治る可能性が高まりますが、進行がんでは手術でがんをすべて取り除くことが難しいために治る可能性が低くなってしまうと言われています。よって、肺がんの生存率を高めるために、ぜひ肺検診を受けていただき、早期発見、早期治療につなげてもらいたいと思います。 当院の肺がん検診の検査内容は、低線量胸部CTと喀痰細胞診の2つがあります。 1つ目の低線量胸部CTは、X線という放射線を利用して、胸部の断面像60~80枚を撮影する検査です。レントゲン写真1枚では肺の死角となる心臓や肋骨と重なる部分も明瞭に描出され、早期の小さな肺がんも発見しやすくなります。また、使用する放射線の量は非常に低く、被ばく線量も胸部レントゲンと同等となっており、検査時間も2~3分程度と短時間で終わりますので、体への負担なく検査が行えます。さらに、当院は「肺がんCT検診認定施設」を取得しており、低線量胸部CTの画像を読む専門の医師と、読影する、撮影する専門の技師が在籍していますので、安心して検査を受けて頂くことができます。 もう一つの検査は喉から出る「痰」を調べる喀痰細胞診になります。痰の中に含まれる肺や気管支の分泌物を顕微鏡で観察して癌細胞がないかを調べます。検査は、あらかじめお渡しします専用の容器に、ご自宅で痰を採取していただき、人間ドック当日に持参していただく方法となります。低線量胸部CTと併せて検査することで肺がんの発見率がさらに向上します。肺がん検診ガイドラインでは2つの検査の併用が推奨されています。 当院の肺がん検診は、今年から「低線量胸部CTと喀痰細胞診の併用コース」と「低線量胸部CTのみのCT単独コース」の2種類から選択可能となりました。CT単独コースは併用コースと比較して低い料金で肺検診を受けることができますので、まずはお気軽に、CT単独コースから肺がん検診を受けられることもおすすめです。 次に、脳検診についてご説明します。 日本人の死因で4番目に多いのが脳卒中で、年間で約10万人の方が亡くなっています。脳卒中とは、主に脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血のことをいいます。 脳検診では、脳卒中のリスクを早期に発見して、予防や治療につなげることが目的となっています。脳検診で主に分かることは、症状として現れていない脳卒中の前段階の病変です。その病変は、微小な脳出血や隠れ脳梗塞、そして、破裂していない脳動脈瘤の有無です。 微小な脳出血は、将来的に大きい脳出血や脳梗塞を引き起こす要因となります。脳検診に用いられるMRIでは、CTと同様に断面像を撮影でき、微小な脳出血はCTよりも発見しやすいといわれています。隠れ脳梗塞は症状として現れませんが、これが脳内に多発すると、将来的に麻痺や感覚障害をきたすような大きな脳梗塞を引き起こす要因となります。この隠れ脳梗塞もMRIの断面像で発見することができます。 破裂していない脳動脈瘤は、そのまま放置しておくと、徐々に大きくなる可能性があり、最終的には脳動脈瘤が破裂して、クモ膜下出血を発症するリスクがあります。 このように、脳検診で脳卒中のリスク病変を早期発見して、予防や早期治療を行うことが大切になってきます。 脳検診はMRIという機械を使用しています。MRI検査の特徴は、狭いトンネルの中に入って検査中は大きな音がすることです。また磁石を使って撮影しているため放射線による被ばくがありません。検査時間は10分から15分となります。 検査を受ける方の中には狭いところが苦手な方がいらっしゃいますが、当院ではそのような訴えがある方に対して、圧迫感を軽減するために目隠しをして検査したり、残りの検査時間をお知らせしながら検査を進めていくなどして不安を和らげるような対応しておりますのでご安心ください。 以上、肺がん検診、脳検診についてご紹介しました。検査のお申し込みやご不明な点などありましたら、白河厚生総合病院の健康福祉課までお問合せください。 最後になりますが、日本人の平均寿命は今後も延びていく傾向にあると言われています。そのような中で重要なことは「健康寿命をいかに伸ばしてけるか!」ということだと思います。そのためにも、毎年、健診を受けていただき、その際には肺がん検診や脳検診を併せて受けていただくことで、病変の早期発見につながり健康寿命を少しでも長く保てるのではないかと思います。ぜひ、肺がん検診、脳検診を受けてみてはいかがでしょうか? 本日は、お聞きいただきありがとうございました。