臨床工学技士という職業と、睡眠時無呼吸症候群について
2025年2月放送ラジオをお聞きの皆さん、おはようございます。私はJA福島厚生連 坂下厚生総合病院で臨床工学技士として勤務している降矢裕貴と申します。 突然ですが皆さん、臨床工学技士という職業を知っていますか?本日の本題に入る前に、少し臨床工学技士について話をさせてください。 臨床工学技士として仕事をしていると、友人に、何それ聞いたこと無い、どんな仕事をしているの?と聞かれるなど、あまり知られていません。このラジオを聞いている皆さんの中にも臨床工学技士をいう職業を知っている人は少ないと思います。 臨床工学技士は、近年の医療界における機械化や多様な医療機器に対応できる人材を育成する為に作られた医療国家資格です。 業務は、大きく分けて2つあります。 1つ目は臨床業務です。 臨床業務の中には、腎臓が悪くなってしまった人に人工透析を行ったり、心筋梗塞の患者さんのカテーテル手術を補助したり、心臓ペースメーカの植込み手術の補助や設定を行っています。 また、最近ではコロナで話題となったECMOの操作、ロボット手術や内視鏡手術の補助も臨床工学技士が行っています。 2つ目は医療機器管理業務です。 人工呼吸器や人工透析装置の点検・購入・修理など医療機器管理を行っています。 医療機器の購入から、点検や修理の記録、機器の廃棄まで、医療機器のカルテを作って管理しています。また、医療従事者を対象に医療機器の勉強会を開催し、使用方法について説明・指導をしています。 このように臨床と工学の両方から、医療を支えるのが臨床工学技士です。簡単に言えば医療機器のスペシャリストです。 さて前置きは長くなりましたが、本題に入りたいと思います。 皆さんは、睡眠時無呼吸症候群やSASという言葉を聞いたことはないでしょうか? 実は私は睡眠時無呼吸症候群と診断を受けて治療を行っています。 この病気は、日中に眠くなる、夜更かししたわけでもないのに、ふとした時に突然睡魔に襲われる、意識が遠のく、起床時に倦怠感や頭痛がある、家族から睡眠中いびきが酷い・呼吸が止まっていると言われるなど、これらの症状に心当たりのある人は要注意です。 実際に私も治療を始める前は、仕事中に強い睡魔襲われ、居眠りをしてしまうことがあったり、運転中の居眠りにより事故を起こしそうになったりました。また、家族からいびきがうるさいと言われていました。 ここ最近テレビなどでも耳にするようになった睡眠時無呼吸症候群とは、英語でSleep Apnea Syndrome と言われ頭文字をとってSASと呼ばれています。具体的には、睡眠中に何度も呼吸が止まった状態や止まりかけている状態が繰り返される病気です。先ほど話しました症状に加えて、睡眠中に低酸素血症になることで合併症として高血圧、糖尿病、不整脈、脳梗塞、心筋梗塞を引き起こすなど、死に至る可能性もあります。 ご自身やご家族で症状に心当たりがあれば病院へ来ていただき、検査の説明を受けて頂ければと思います。検査の方法は、ご自宅で機械を着け一晩寝るだけの簡易検査が主流です。検査内容としては脳波と心電図、胸部・腹部の呼吸運動、鼻からの空気の流れ、動脈中の酸素量などを測定・記録します。その結果から治療方法や処方を決定します。 私の場合、検査をしたら睡眠中の心拍数が200回を超える時や、30回を下回る時があり驚いたのを覚えています。日中心拍数が30回を下回ったら失神している状態です。 睡眠時無呼吸症候群の治療方法としては、睡眠中の体位の工夫や減量、禁煙などがあります。また、ほとんどの患者さんに有効とされる経鼻的持続陽圧呼吸装置療法、通称CPAP療法というものがあります。このCPAP療法は、空気を送る機械に繋がるマスクを着けて眠るというものです。具体的には一定圧力を加えた空気を、鼻から送り込むことで気道の閉塞を取り除き、睡眠中の気道を確保するという治療法になります。簡単に言うと寝ている間、鼻から空気を押し入れて呼吸させる治療となります。最初は圧迫感や鼻の乾燥など不快感はありますが、徐々に慣れていくケースがほとんどです。治療を続けることで、睡眠中のいびきや呼吸が止まることがなくなり、日中の眠気や倦怠感が改善されるだけでなく、合併症の予防や改善もできます。 私もCPAP療法を勧められ、毎晩、機械を着けて寝ています。最初は圧迫感から苦しいと感じましたが、続けているうちに治療に慣れていきCPAPの機械をつけて快適に眠れるようになりました。なにより、家族から一緒の部屋で寝てもうるさくなくていい。静かすぎて心配になるくらいだと笑われてしまいました。また、日中の眠気がなくなり、朝起きた時に感じていた口や喉の乾燥がなくなりました。体の疲れも取れ仕事により一層集中できるようにもなりました。 私達臨床工学技士はCPAPの機械の使い方やメンテナンスの説明をさせてもらっています。治療を開始される際は私達が精一杯サポートさせて頂きます。 気になる症状がある方はお近くの厚生病院へご相談してみてはいかがでしょうか。 最後となりますが 無呼吸は たかがいびきと あなどるな これと、臨床工学技士という職業を覚えていただければ幸いです。 坂下厚生総合病院 臨床工学技士 降矢裕貴がお伝えしました。ありがとうございました。