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糖尿病の検査について

 白河厚生総合病院検査科の高住奈緒子です。  今回は、臨床検査技師の立場から糖尿病の検査についてお話させて頂きます。まず、自己紹介として臨床検査技師についてお話しします。みなさん聞きなれない職業かもしれませんが、臨床検査技師とは病院などで検査を専門に行っている職業です。採血した血液や尿の検査、心電図、超音波検査などを行っています。では糖尿病について説明します。糖尿病は、一言で言いますと、体内で血糖値の調節ができず血糖値が高くなってしまう状態です。以前は高血圧や高脂血症とともに成人病と呼ばれていました。現在は生活習慣病と呼ばれ、より身近な病気になってきています。みなさんの毎日の生活習慣が糖尿病の原因となります。そしてこの病気の恐ろしいところは症状が乏しいところです。痛みも苦しみもなく病気は進行します。現在日本では、580万人近い方が糖尿病の治療を受けています。糖尿病はインスリンというホルモンの分泌が少なくなったり、効きづらくなってしまう状態です。インスリンは血糖値を下げてくれるホルモンです。原因は食べすぎや太りすぎ、運動不足などです。治療は患者さんの状態にもよりますが、食事療法、運動療法が基本となります。飲み薬やインスリン注射などが使われることもあります。  ここからは検査のお話をさせて頂きます。検査と聞くと、嫌な印象をお持ちの方もいると思いますが、糖尿病の診断や治療には検査は欠かせません。まず、糖尿病なのかどうかを調べるためには採血が必要です。採血で血糖値とHbA1cを調べます。人間ドックなどでも検査できる項目のため聞いたことがある方も多いと思います。血糖値は、名前のとおり血液中に含まれる糖の量を調べるもので、食事の影響を受けます。食事を摂ると、食物中に含まれる糖分が腸などで分解吸収されます。当然吸収された分、血糖値は高くなってしまいます。採血があるときに食事を摂らずに空腹で病院に来て頂くのは、このような理由があるからです。HbA1cは、過去1~2か月の血糖値を反映している検査です。過去1~2か月の間に血糖値が高い期間が少なければHbA1cの値は低くなり、血糖値が高い期間が多ければHbA1cの値は高くなります。そのため、健康診断や病院受診の直前に数日間食事の内容に気を付けてもHbA1cの値は大きく変わりません。  この2つの検査項目は、糖尿病と診断されてからの治療や経過観察にも使われます。そのため、糖尿病で受診された方はほとんどの場合、採血検査が行われます。  また、血糖値の測定は患者さんご自身で行っていただく場合もあります。糖尿病と診断されて、治療にインスリン注射を使っている方に多いのですが、食事の前などにご自身で血糖値の検査を行います。指先を消毒し小さな針で傷をつけ、そこで絞り出した血液を専用の機器に触れさせて検査を行います。針で傷をつけるため、多少の痛みを伴いますが、インスリンを上手に使うために大切な検査です。  次は糖尿病の方に起こる合併症についてお話します。合併症とは、元々の病気が原因で、体の他の場所にも悪い影響を与えてしまうことです。糖尿病の合併症はいろいろとありますが、「3大合併症」と呼ばれるものが特に大切になってきます。3大合併症とは、糖尿病網膜症、糖尿病神経障害、糖尿病腎症の3つです。  糖尿病網膜症は眼科で検査が行われるため、今回は詳しく触れませんが、最悪の場合は目が見えなくなってしまいます。  糖尿病神経障害は、糖尿病の影響で体の神経がダメージを受けてしまうことです。一般的には左右一緒に足先や足底から、痺れ、痛みなどの症状が見られます。酷くなると、傷や火傷などに気が付かなくなるほど感覚が鈍くなります。更には感染症になってしまい、最悪の場合は足を切断することにもなってしまいます。この神経の状態を調べる検査もあります。神経伝導検査と呼ばれ、手や足に電気刺激を行い、神経の状態を検査します。電気刺激を行うため、ビリビリする感じがして痛みを伴う検査です。  糖尿病性腎症は、糖尿病の影響で腎臓に負担がかかり、腎臓の機能が悪くなってしまうものです。腎臓の機能が悪くなると、体の中の余分な水分や必要ない成分を尿として外に出せなくなってしまいます。そのため、体のだるさや浮腫みなどが見られます。最悪の場合は人工透析が必要になってしまいます。現在人工透析の原因の第1位が糖尿病です。腎臓の機能を調べる検査は採血と尿検査が一般的です。採血でクレアチニンという項目を調べます。尿検査では蛋白を調べます。  このように、糖尿病は病気の診断から、治療、経過観察まで様々なタイミングで検査が必要になります。大きな病院に行くと検査ばかりさせられる、と嫌な印象をお持ちの方もいるかもしれません。しかし、行う検査には必ず意味があります。今回の話で、検査は病気の診断やより良い治療のために欠かせないもの、と御理解頂けたら嬉しいです。皆さんの健康な生活を守れるよう、私たち臨床検査技師も正確な検査結果の提供をしていきます。