健康アドバイス詳細

  1. HOME
  2. 健康アドバイス
  3. 健康アドバイス一覧
  4. 骨粗鬆症とお薬について

骨粗鬆症とお薬について

 こんにちは、塙厚生病院 薬剤科の鈴木愛美と申します。今日は骨粗鬆症ついてお話させていただきます。  骨粗鬆症とは、骨量(骨密度)が減る、または骨の質が低下することで骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。骨折や、腰・背中の痛みがなくても、骨密度が減少していると骨粗鬆症と診断されます。日本には約1000万人以上の患者さんがいるといわれており、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります。男性よりも女性に多く、特に閉経後の女性に多くみられ、70歳代では3人に1人、80歳代では2人に1人の女性が骨粗鬆症であるといわれています。骨粗鬆症は骨が壊れやすくなっているため骨折しやすく、骨折を起こすと寝たきりや認知症につながることがありますが、様々なケースで予防や治療もできる病気です。  骨粗鬆症によって骨強度が低下すると荷物を持ち上げる、転ぶ、手をつくなど日常の何気ない動作で骨折が起きやすくなります。また、自分の体重に背骨が耐え切れなくなり、気づかないうちに背骨がつぶれて骨折していることがあります。このような場合、特別な痛みを感じないため、軽いうちは自分でも骨折していることに気がつかないことがほとんどです。骨粗鬆症による骨折は、骨折をすればするほど連鎖的につぎの骨折が起こりやすくなります。やがて背骨のバランスが崩れ背中が丸くなることで、胃食道逆流症などの消化器疾患や、呼吸器機能障害、心臓の機能低下などの原因となることがあります。特に大腿骨(足のつけ根)を骨折すると入院や安静を強いられ、運動機能や内臓機能が低下して寝たきりにつながりやすく、寝たきりから認知症が進行する可能性もあり、死亡リスクも高くなります。  骨粗鬆症の原因は、年をとることが骨量が減少する最も大きな原因ですが、遺伝や生活習慣、閉経の影響を受ける複合的疾患であることがわかっています。カルシウムの摂取不足、女性ホルモンの欠乏、カルシウム調整機能の衰えが主な原因でもありますが、また、糖尿病・ステロイド薬・慢性肝障害・卵巣摘出など他の病気や薬が原因で起きる骨粗鬆症の場合は、年齢や性別に関係なく発症します。  ではどんな症状が出るのでしょうか?骨粗鬆症は自覚症状がないまま加齢とともに進行します。骨折して初めて気がつく人が多いため「沈黙の疾患」と呼ばれています。自覚できるのは、背中や腰が痛い、背中が曲がってきた、身長が目立って低くなってきたなど、老化によるものと思いがちな症状です。骨粗鬆症と診断されたら骨折を起こさないよう骨を強くするためにも骨粗鬆症の治療をすぐに始めることが大切です。  骨粗鬆症の検査では、骨量測定など、背骨や足のつけ根といった骨粗鬆症性の骨折が起こりやすい部位の骨密度を測定したり、レントゲン撮影、血液・尿検査などの骨代謝マーカーなどを測定したりします。骨は古い骨を壊す「骨吸収」と新しい骨をつくる「骨形成」という代謝を繰り返しています。その代謝の際に骨から放出される物質を血液検査や尿検査で測定します。これを骨代謝マーカーと呼びます。この検査を行うことで治療薬の選択や治療効果の判定をします。また、骨代謝マーカーは、骨のビタミンKの不足状態を調べることや骨粗鬆症と似ている病気を区別することにも役立ちます。  「骨粗鬆症」と診断された場合は薬による治療の対象となります。骨粗鬆症といっても、骨折の有無、慢性あるいは急性の痛みの有無、骨折に引き続く合併症が発生しているか否かなど、病態やその時期がさまざまです。そのため、薬の選択は、年齢、骨折部位、骨密度を上げる薬剤の強さなど患者さんの状態のほか、通院できる回数といったライフスタイルなどをみて決定します。治療方針は主治医とよく相談して決めることが治療を続けていく上で大切なポイントとなります。  骨粗鬆症の薬の種類には、飲み薬、点滴薬、注射薬などがあります。飲み薬には1日1回、1週間に1回、月に1回、注射薬では1日1回、1週間に2回、月に1回、6か月に1回など様々なタイプの薬があります。骨折予防のためには薬の用法・用量をきちんと守って、継続することが必要不可欠な条件となっています。  骨粗鬆症の治療に使われる主な薬には大きく分けて3つのタイプがあります。1つ目は骨吸収抑制といって、骨を壊す働きを抑える薬です。2つ目は骨形成促進といって、骨をつくる働きを高める薬です。3つ目は骨代謝調整といって、骨のバランスを整える薬です。この3つのタイプの薬から、患者さんに合った薬を使用することになります。また、すでに骨折が発生している人には骨折に対する処置、たとえば痛み止めを飲む、コルセットを使用するなどの対応がおこなわれるケースも多くあります。  骨粗鬆症の薬物治療を始めた患者さんのうち、薬の効果が感じられないと開始後1年で治療をやめてしまう人が45%もいますが、治療を続けることが骨折のリスクを減らすことにつながります。骨折のリスクを少しでも減らし、いつまでも元気で生活してくためにも治療を続けていただきたいので、薬が飲みにくいなど服用が難しい場合や困っていることがあれば、医師や薬剤師にぜひご相談ください。  本日はありがとうございました。