「骨の健康」と、そのための「骨密度検査」
2026年2月放送皆さん、おはようございます。私は坂下厚生総合病院で診療放射線技師をしております佐藤秀樹と申します。 まだ外は薄暗く、冷え込みが厳しい時間帯ですが、農作業の準備をされている方、あるいは車を走らせている方も多いかと思います。 私たち診療放射線技師は、普段、病院の検査室でレントゲンやCT、MRIなどを撮影し、皆さんの体の中の様子を画像にする仕事をしています。今日は、特に農家の皆さんにぜひ知っておいていただきたい「骨の健康」と、そのための「骨密度検査」についてお話しさせていただきます。 さて、皆さんはご自身の「骨」の強さを意識したことはあるでしょうか。「毎日体を動かしているから大丈夫だ」と思っている方も多いかもしれません。確かに、農作業で体を動かすことは骨にとっても、良い刺激になります。しかし、残念ながら骨の強さは年齢とともに、知らず知らずのうちに低下してしまうものです。 特に福島県の冬は、雪道・凍った道での転倒のリスクがつきものです。若い頃なら「あぁ、痛かった」くらいで済む転倒も、骨がもろくなっていると、一瞬で「骨折」につながってしまいます。 一度骨折、特に足の付け根などを骨折してしまうと、これまで当たり前にできていた田植えや畑仕事、重い荷物を運ぶといった作業が難しくなってしまいます。そうした不自由な思いをすることは、何より避けたいことではないでしょうか。だからこそ、ただ「大丈夫だろう」と過信せず、「今の自分の骨の状態を数値で客観的に知っておく」ということが、非常に重要なのです。 そこで大切になってくるのが「骨密度検査」です。 骨密度検査とは、骨の中にカルシウムなどの成分がどれくらい詰まっているか、その骨の強さを数値化する検査です。 骨の内部がヘチマのようにスカスカになり、折れやすくなる「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」を早期に見つけ、適切な対策をとるための、いわば「骨の定期点検」です。 この骨粗鬆症という病気は、実は「沈黙の病気」とも呼ばれています。痛みなどの自覚症状がほとんどないまま進んでしまうからです。 例えば、「最近、少し背中が丸くなってきたかな?」とか、「以前より身長が縮んだ気がする」といったことはないでしょうか。 こうした小さな変化が、実は骨がもろくなっているサインであることも少なくありません。女性に多いといわれる骨粗鬆症ですが、実は男性にも注意が必要です。年を重ねるだけでなく、お酒の飲みすぎや喫煙、さらには糖尿病などの持病も骨をもろくする原因になります。 骨密度検査は施設によっていくつかの方法があります。 例えば、専用のベッドに横になって腰の骨などにエックス線を当てて測る方法、その他には座った状態で手首にエックス線を当てて測る方法、あるいは、かかとに超音波を当てて測る方法などです。 「自分の行く施設はどのタイプかな?」と思われるかもしれませんが、どの方法であっても、皆さんの今の骨の状態をしっかりと数値化して教えてくれます。 どのタイプにも共通しているのは、体への負担が少なく、手軽に受けられるということです。 基本的に、痛みは全くなく、数分から10分程度、じっとしているだけで終わります。その日のうちに自分の「骨の年齢」がわかることも多いため、ご自身の健康状態を客観的に見直す良い機会になると思います。 もし検査を受けて、数値が気になるような結果が出たとしても、まずは現状を知ることができた、と前向きに捉えていただきたいと思います。 その数値をもとに、これからの食事の工夫や生活習慣について、専門の医師に相談することができます。ご自身の骨の状態を正確に把握することで、医師もより一人ひとりに合った、具体的なアドバイスができるようになります。 定期的に検査を受け、数値の変化を見ていくことは、これから先の生活を安心して送るための「心強い道しるべ」になるはずです。骨の健康を守ることは、ただ骨折を防ぐだけではありません。ご自身が行きたい場所へ行き、やりたい作業を存分に行える、そんな「活動的な毎日」を長く支える土台を整えることでもあります。 福島県内の各厚生病院また農村検診センターには、それぞれに適した骨密度検査装置が備わっています。皆さんの通いやすい、お近くの施設でご相談いただければ、丁寧に対応させていただきます。 私たち診療放射線技師は、骨折して運ばれてくる患者さんの画像を撮ることも少なくありません。そんな時、「もっと早く自分の骨の数値を知って、食事や運動、ときにはお薬などで対策をしていれば……」と感じることも多々あります。一番怖いのは「自分の骨の状態を知らないまま、無理を重ねてしまうこと」です。農作業で使う機械を長く大切にメンテナンスするように、ご自身の体の土台である骨も、ぜひ大切にしていただきたいと思います。 坂下厚生総合病院をはじめ、お近くの厚生病院や農村検診センター、さらにはお住まいの市町村の検診など、是非それらの機会を生かして「骨密度検査・骨粗鬆症検診」を、定期的に受けてみてはいかがでしょうか。 農家の皆さんが大切に育てたお米やお野菜は、私たちの元気の源です。皆さんの日々の活動を支える「丈夫な体づくり」を、検査を通して少しでもお手伝いさせていただければ幸いです。 最後になりますが、この季節は足元が特に不安定になります。どうぞ足元にお気をつけて、今日も一日、元気にお過ごし下さい。 本日は、骨密度検査についてお話させていただきました。最後まで聞いていただき、ありがとうございました。