臨床工学技士と医療機器の関わりについて
2026年4月放送皆さんおはようございます。 白河厚生総合病院臨床工学科の村田絵吏です。 私たちの生活は通信技術の発達に伴い機械化がどんどん進んでいます。身近なところでは血圧計や体温計など様々な医療機器が普及される時代となってきました。皆さんのご家庭にも1台あるのではないでしょうか。 今日は、私たち臨床工学技士と医療機器のかかわりについてご紹介します。 皆さんは、臨床工学技士と聞いてどのような業務を想像するでしょうか。コメディカルの中でも臨床検査技士や診療放射線科技士など名称だけでどのような仕事をしているか想像できる職種が多い中、私たち臨床工学技士とは名称だけでは仕事の内容がピンとこない方が多いと思います。工学と入っているので機械をいじる人?機械関係の仕事?などいわれることが多いです。正解は、半分当たって半分外れです。私たち臨床工学技士は機械を整備するだけではなく治療の代行を行える職種なのです。 実は、医療従事者の中でも私たちの仕事を正しく理解している人は多くないのです。それくらい私たちの臨床工学技士というのは病院内で幅広く活躍しているのです。 現代の医療は医療機器なしでは賄いきれません。臨床工学技士は、命を支える医療機器を操作・管理する専門職です。命を支える医療機器とは呼吸を助ける人工呼吸器、心臓や肺・脳などの血液の流れをサポートする人工心肺装置やECMO、腎臓の代わりに働く透析装置、薬剤を正確に注入する為の輸液ポンプなど医療全般多岐にわたっています。 白河厚生総合病院内の医療機器はどれくらいの数があると思いますか?大きい物から小さいものまで5000台以上の医療機器が院内で活躍しているのです。それらを安全に正確に使用できるよう点検、整備、操作補助などを行う職種がいることが大変重要となっています。 医療機器は救急分野から、病棟、手術室、在宅と幅広く使用されています。介護と在宅のバランスが叫ばれている現在、在宅医療の拡充・サポートが増えていっています。在宅で活躍する医療機器といえば在宅用人工呼吸器、輸液ポンプ、吸引器や吸入器、酸素療法器とあまりなじみのない医療機器の名前が挙げられます。それらを安全に使用していただくために私たちが患者さんの下へ行き、機械の説明や操作方法などを一緒に行うことがあります。皆様のなかでも私たちから説明を受けたことがある方はいらっしゃるのではないでしょうか?もし、今後そういう機会があったら臨床工学技士だ。機械の専門家だと思っていただけると嬉しいです。 最近のトピックとして、白河厚生総合病院ではロボット手術機器『ダビンチ』が今年導入されました。この春からダビンチを使用した手術も開始されます。テレビなどで聞いたことがある方も多いと思います。2012年より保険適用されている技術ですので白河厚生総合病院での導入は遅くなってしまいましたが、やっと開始することができるようになります。 少し、ロボット手術の紹介を致します。 ロボット手術とは、内視鏡下でお腹に開けた小さな穴から手術器具を入れ、医師は患者さんから離れた場所で3Dの立体映像を見ながらロボットアームを操作して手術を行います。 ロボットアームは医師の手の動きを正確に再現するだけではなく、人の手首以上に自由に動く関節を持っているため、体の奥の狭い場所でも細かい作業が可能になります。 人の手にはどうしてもわずかな震えがありますが、ロボット手術器ではそのブレを抑え、安定した動きで操作することができるので体に負担が少なく術後の回復も比較的早いというメリットもあります。費用も保険適用されている術式が年々増えている為、従来の内視鏡手術とほぼ同程度で受けていただくことが可能となっています。 ロボット手術にはたくさんのパーツや機器が取り付けられています。その一つ一つが正確に動くかどうか事前に点検し、準備するのも私たち臨床工学技士となっています。 手術中も異常がないか周りを観察し、万が一のトラブルが発生した際はすぐ対応できるように、医師や看護師と連携しながら、手術を“機械の面から支える”役割を担っています。 余談になりますが、先生方はロボット手術開始に向けてプライベートな時間を使用し機器操作に慣れる為のトレーニングを一生懸命行い技術を磨いています。私たちも手術を支えられるようトレーニングを行い、ダビンチ手術を安全に受けていただけるよう職員一丸となって準備しています。今までは少し離れた病院へ行かなければならなかった手術も皆様の身近な病院で手術できるようになりますので安心して過ごしていただければと思います。 名称だけでは分かりにくい仕事ですが「医療を支える機器を支える臨床工学技士」を少しでも知っていただければ嬉しいです。